ダメなガノタのダメな生態を日々綴るダメ日記

ひびのたわごと
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2006/06/16(金)
   

21世紀への再生 その3

2006/06/16 21:10|富野由悠季関連トラックバック:0コメント:0
とりあえず3回目。次回で終わりです。

―メカデザインの話になるのですが、「ダイターン3」での大河原邦男氏の起用は、富野監督が希望されたものだったんですか?

希望は一切ありません。大河原さんというのは、アニメというジャンルで、ロボットをキャラクターライズ化していくうえでのコンセプトワーカーとしての力は、20年以上やっているわけですし、なまじのものではありません。むしろ若い人たちにわかってもらいたいのは、だからと言って大河原デザインが本当にデザインとしていいのか悪いのかと言うと、問題はあるわけです。どう問題かと言うと、もう25年やっているわけですから若い人が見たときにダサいという部分があるわけです。むろん、それを大河原さんも承知しているし「もう少し、若い人のフィーリングを取り入れられないのか」という注文を僕はつけました。つけはしましたが一人の人間がやることですし、やはり簡単に取り入れられるものではないという大河原さんの苦労も僕は知ってます。そして、言ってしまえば25年という時間を見て思うことは、大河原さんに変わるべきデザイナーが出たのか、と言えば、出なかったという事実に突き当たったとき、僕なんかに評価論は語れない。若い人たちが線を洗練させたり、それぞれのパーツを格好良くすることができたとしても、大河原さんのもつキャラクターライズできるデザインの根本と構造を盗んだ人がいるとは思えないんです。大河原さんはメカものをキャラクター化するという能力を本能的にもっているんです。絵にあらわされていることば、コンセプトがあるはずで、それを大河原ばかりにやらせておけないというデザイナーがいるなら―どこかにいると僕は思っていますが―やって見せろよ、と僕はいいたい。だから、悔しいけれど偉大です、大河原デザインは。

―なにかしら骨格のようなものを感じさせるものがありますよね。建築物に近い印象を受けます。

良いことを言いますね。まさにそうです。ヨーロッパでは、将来アーチストになりたい人は、まず建築科に入るそうです。それを10年くらい前に知って、やはりそうか、と思いました。建築から入って過去の建築物の構造をデザイナーとして勉強している。ところが日本にはそれがなくて、メカが好きでメカデザイナーにポンとなってしまうから大河原デザインを越えられるのではないか、と思っています。もう少し大河原さんのことを言うと、彼は建築の勉強はしていません、もともと資質として彼がもっていた天賦の才能です。ですが、ひとつだけ大河原さんの職業的なキャリアでいうと、彼は服飾デザインからはじめたんです。それはどういうことかというと、服飾とは人間の体型を見ることで、それはキャラクターを見ることなんです。そこにもともと彼がもっている建築的なデザインのセンスがドッキングしているわけであって、絵空事から始まっていないんです。そもそもデザインというのは、それを要求しているのではないか、と僕は思います。だからメカデザインをやりたいからと言って、メカデザインだけをやっている人は皆さん、今すぐやめてください、と言えます。

―大河原デザインには、荒唐無稽だけどどこかにドッシリとした土台のようなものがありますよね。


その土台がじつはフィクションではなく、リアリズムなんです。今回、「ターンAガンダム」のデザインをシド・ミード氏にお願いしましたが、彼はもともと工業デザイナーとして学校で勉強したうえで、自動車などの具体的なデザインワークもやって、それからようやくSFの世界に入ってきたんです。デザイナーとして熟成しなければならないデザインのルーツというのは、センスの良さだけではないし、嘘八百のデザインでは、そのセンスは育たないと明言できます。

―空間を把握する能力というのが、シド・ミード氏も大河原さんも似ていると思います。

その能力は共通していますね。空間と、ものの形が形成される立体というものを本能的に知っています。僕が「ブレンパワード」と「ターンAガンダム」で久々に現場に戻ってきて思ったのは、アニメのメカデザイナー志望という人たちが、原理原則すら知らず、基礎学力ももってないということです。だから今、建築や工業デザイナーを目指して大学で勉強なさっている方は、とにかくつづけてほしいし、そのうえで現場に行って図面を引いて、それからこの世界に参入してくれたら、と思います。今回、シド・ミード氏の仕事も具体的に見ることが出来るし、文化圏も違いますから「我々がいちばん足りない部分は何か」を感じさせてくれるだろうし、みなさんにもそういう部分を見て欲しいなと思います。

―富野作品はリアルロボットものと言われていますが、現実の世界でもホンダのP-2が登場したりしていますね。


ホンダのP-2が動く画像を見たとき、僕は地獄を見たと思いました。本来、人間が手に入れてはならない道具です。ですからあれに関しては全否定です。

―生理的に嫌ということですか?

違います!人間に便利な道具を与える価値はないのに、どうしてこういう道具を開発したのかという傲慢さしか見えてこないからです。この発言は、僕だけの皮膚感ではないはずです。例えば冷戦が終わって核弾頭を順次はずしているわけですが、今日現在、どこかで核弾頭が盗まれていないからいいだけであって、核弾頭が安全だと盲信していいわけがない。我々は道具というものを自分の手の届かないところにおいてしまっているのに、暴走した時のことを誰も考えない、むしろ知っていればいるほど「考えたくない」というブレーキが働いているんですね。医療用、看護用ロボットが必要なのはわかります。しかしそれが暴走をして患者を殺さないという保証はどこにもない、つまりガードがきかないんです。ある軍事評論家の方が凄いたとえを言っていました、「携帯電話をちゃんと使っているヤツがいるのか」って(笑)。

―使う側のメンタリティが確立されないまま、技術だけが進んでしまっている、と……。

ですから僕はロボットは乗り物としてしか扱っていないし、道具としてしか扱っていない。モビルスーツも道具、兵器として位置づけしてきたわけですが「ガンダム」は、まだまだロボットものというテリトリーに押し込められている気配はある。だから本当はロボットものとは言いたくないんです。

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