富野ゼリフの作り方
- 2008 01/23 (Wed)
これは劇場版∀のパンフレットにおいて、
河口プロデューサーが独特な富野の台詞回しについて、
「セリフを尺に合わせているから」と分析しているというものだった。
先日、たまたまある資料をみていたところ、
この富野セリフに関して、富野自身が語っている部分を発見した。
それは「リーンの翼」4巻のライナーノート。
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DVD「リーンの翼」のライナーでは、
「富野由悠季総監督による『リーンの翼』演出術」という富野のインタビューを、
計3回にわたって掲載しており、4巻には第2回が収録されている。
そのインタビューにおいて富野は、
シナリオ論に質問が及んだときにこういう回答をしている。
―富野作品には、名セリフと呼ばれるものが多数でてきますが、そこにこだわりはないのですか?
富野 そういう意味では僕のような人間が、こんなことを言うと驚かれるかもしれませんが、僕はセリフにこだわっていません。あくまでも絵の調子とキャラクターを表現するためだけに、必要な言葉を持ってくる。それが僕のセリフなんです。ダイアローグを聞いていれば映画の内容がわかるような作品は、僕は作りません。そうではなく、視覚的な変化がまずあって、その中でエイサップなり、サコミズなりのセリフがピシっとあれば、クドクドとした語りのセリフはいらないし、逆に決めセリフができるんです。
またシナリオの構造論について、以前のTVシリーズでも同様の考え方で演出していたのかを質問されたときには、次のように答えている。
もちろんです。でも違うところもあります。TVシリーズでは、上がってきた絵コンテを、さっき言った(言葉による説明ではなく、構造をもって織り込まれている)説明セリフなしでわかるような構造をもったものにするために、描き直してました。これはどんな作品でも同じです。ただ、TVシリーズだと、セリフなしでわかるものにいすぎると、動きで見せることになるので枚数がかかりすぎるし、尺が足りなくなるんです。そこで逆にセリフを足していくんです。僕の作品は長セリフが目立つので、セリフ中心で考えているんじゃないかと思われることが多いんですが、僕にとってはまったく逆で、長セリフは尺をもたせるためのト書きみたいなものなんです。
なるほど。なるほど。
河口氏の分析は「早い映像のテンポに合わせるため、セリフを尺に合わせて短くしている」というものだったが、
逆に長くした場合も尺に合わせてセリフを付け足していたのね。
つまり河口氏の分析どおり、「言葉」そのものよりも、「映像のテンポ」を重視していると。
富野というと、アニメーター出身のパヤオと対比させて、
文学肌の「言葉の人」というイメージが強い。
だが、こういった演出論を聞くと、
実のところは「画の人」もっといえば「映像の人」なのだろう。
藤津亮太氏の「アニメ評論家宣言」でも、
と評されているが、それを自ら裏付ける発言ともいえよう。セリフの内容は関係ないのだ。富野はその饒舌さから言葉を信じる「言葉の人」のように見えていたが、実は人一倍言葉を信用していない。
富野自身このライナーでも
と語っている。凡庸なライターは、シナリオで文学をやるんです。とにかく字を書く。そしてセリフにこだわる。でも40年前から、僕はそれは違うと思ってきました。
ただ、富野のいう「説明セリフいらない」「画面をみればわかる」といったスタンスが、
時にうまく構造が機能せず、わけのわからない情報過多の第1話になってしまうのも事実。
その辺のバランスはもう少しだけ「言葉」側に寄ってもいいのではないかな?と思ってしまう。
∀なんかではいい感じだったのにね。
あれはやっぱり星山さんの力でもあるのかな?
で、このインタビューで一番富野らしいなぁと思ったのは以下の部分。
映像とセリフの関係について。
まず状況と人との関係があります。「どこにいてもエイサップなんだ」というセリフのロジックだけで、ポンとカメラが寄ってしまうのは、例えるなら……パンツを脱いだらすぐお股にカメラが寄るようなものでしょう(笑)。それがいいかというと、そういう表現があることはあります。でも、ここでパンツを脱いでいても、別の場所にもっとおもしろいことがあることだってあるでしょう。だからパンツを脱げばお股に寄る、キスをすれば赤らんだ顔に寄る、という決まり切った演出になってしまうと、それはちょっと待ってよ、ってことになります。
だからなんでパンツとお股に例えるんだとwwww
いかにも富野wwww
でもそんな富野が大好きだ。
このリーンの翼、はっきり言って1話収録でこの値段は、
ボッタクリ以外の何ものでもないが、
こういった「特典」にも目をやるならば、
富野信者として得とまでは行かないが、損ではないような気もしてきた。
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