ダメなガノタのダメな生態を日々綴るダメ日記

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2006/10/03(火)
   

アニメ監督という名の芸人

2006/10/03 21:34|富野由悠季関連トラックバック:0コメント:2
ここのところ「KINO」Vol.2を読んでいた。
4309906850KINO Vol.02 思考としての『ガンダム』
京都精華大学情報館
河出書房新社 2006-07-25

by G-Tools

この号には富野関連記事が3つある。
1つは「『機動戦士ガンダム』を超えて」というインタビュー。
特に制作時に心がけたことなどについて答えている。
2つ目は杉井ギザブロー氏との対談。これがこの号のキモになるのかな?
3つ目は一昨年に京都精華大で行われた講演のテキスト起こし。
「仕事」をしていくこととは、「社会」と関わっていくということで、
たとえクリエイティブな仕事でも一人よがりでは何もできない。
スポンサーの要望にきちんと応えないと、おまんまを食っていくことはできない。
など自らの体験談を交えながら、学生たちに「4年間を無駄に過ごすな」とメッセージを送っている。

で、面白いなと思ったのが、ギサブロー氏との対談。
富野はよく自らのことを「戯作者」と言ったりするが、
ギサブロー氏は「芸人」と自らの職業を評している。
で、以下、面白いと思った部分をいくつか抜粋。

僕らがやってる仕事って言うのは、芸ですよね。芸である以上、そこにお客さんがいて、各時代のお客さんが何を求めているかをキャッチできなくては、なかなか仕事のタネが決まってこない。そう思っていつも仕事をしているんだけど、それってすごく重要なことで、やっぱりアニメは商業性なり経済性がありますよね。それを両立しない限り、再生産がきかないわけですから。僕らは常にどこかでアンテナとして時代性を眺めたりしている。そういうところで社会と接点があったりするんです。
それがね、やや内に向いたかなっていう気がする。つまり、作ってる側の作家性の方に向いたのはいいんだけど、いつの間にか取り残されていて、もう見てるお客さんたちはさっさとインターネットのほうに行っちゃっている。今は、実写のドラマなんか、みんなコミック原作ですよ。娯楽性でいえばね、ある種娯楽性を失ってしまったアニメよりか、実写のほうが面白いのかもしれない(笑)みたいなことになるっていうのが、ヤバいと思うんですよね。


:よくね、企画会議やっても、「僕はこういうことがやりたい」「僕はこれが好き」とかね、そういう言葉は出てくるんです。僕はいつも「おいおい、アニメって、別にお前の為に作るんじゃないぞ」っていうんだけど(笑)。
:ハハハ。
:僕らも富野氏もそうだけど、編集してるじゃないですか。これは当たり前なんですけど、どこを切れとか、ここをこうしろっていう指示は、客席に座って言ってるわけですよ、意識として。お客さんが見て、こことここを取ったほうが気持ちがいいだろう。ここにこういう音楽を入れると、お客さんにとって伝えやすいだろうって。編集っていうのは、自分に向かってることは一度もなくて、常に客席からフィルムの上がりを見てる。こういうみっともないものは、お客さんに見せられないから切れとか、そういことを常に意識してやってるんだけど、今富野氏が言ったように、世代はもうアニメ・バブルで、アニメが作れて当たり前、もうバブルは弾けてると思いますけど、そういう時代の人たちは、もしかするとお客さんが見えてないのかもしれないですね。つまり、映画にとって、お客ってどういう存在とか、映画っていうのはエンターテインメント、娯楽性としてどういう存在かみたいなことが、あまりきっちりした形で見えてないのかもしれないね。


:この言い方は誤解を招くかもしれないけど―『悟空の大冒険』から、自分のために作った作品は1本もないんですよ。仕事でやってるんだし、自分のためにやったって意味がない。富野氏もそうだと思うんだけど、それは自分の作品ではありますよ、でも自分のために『ガンダム』を作るんではない。だから、エンタテインメントっていうのは、芸がいりますよね。まあ僕は映画を作るときに、自分の趣味で作るってことは……。
:恥ずかしいね。
:ありえないっていうか(笑)、ちょっと考えられない。「自分のために映画作ってください」って言われたら、ちょっと戸惑って「映画作るのやめようかな?」っていうくらいですよ。
:それがいちばん簡単なことですね。僕も自分で作った作品って、絶対観ないもんね。僕はやっぱり自分のもので自分が好きで見たくてしょうがないものだとか、作っていながら楽しいものって、自分の部屋から一歩も外に出さない。
:エンタテインメントって、そこがすごく厳しいんだよね。エンタテインメントの仕事をしたい―つまり、自分を見たかったら、エンタテインメントの仕事はしないほうがいいですよ。
:そうですよね。
:そういう人には芸術家になりなさいといいますね。でも、我々はやっぱり、人のために―っていうのも言い方が違うんですけど―芸として、観客を意識して映画を作る。その中にね、いろんな価値観とか、自分なりの社会性だとか人間性だとかを込めますけど、哲学者でもないし、「俺は世の中をこう思う」って勝手なことを言ったって共通性持てないわけだから、それをキッチリやってる人間から見ると、この10年間くらい、アニメが内に向いて、なんだか知らないけど、アニメを作ってる人たちって勘違いしてるんじゃないかと思いますね。
:決定的にかんちがいしていますよね。
:お客さんも面白いうちは見てくれますよ。アニメ作家が作ってる個人の見方も面白いよねって言っている間は見てくれるんだけど、そういうものにパワーがなくなってきたときには、あっという間に、「どうぞ、勝手にお作り下さい」ってかたちでさっさと離れていきます。


ただそこで、僕は自分でアニメーションをやっている限り芸人だと思っているんですけど、芸人の根性とすればね、価値観だけは自分のものですよ。その価値観が、常にエンタテインメントとして通用するように戦えるかどうかっていうところでは、ものすごく戦ってますよ。価値観は、ここがズレると仕事できません。だから常に自分がいいと思わないものものを作品化するってことは。これはもう仕事として無理です。だから自分の中では価値観って明解に持ってるんだけど、その価値観って、個人のものじゃないですか。じゃあ、そこで何が戦いかっていうと、さっき言ったように、不特定多数のお客さんに対して、エンタテインメントとして噛み砕けるかどうか、その共通性を妥協しないで見つけだしていくっていうのはすごく大変な作業で、そこをきっちり本気でやってる人たちが、長く仕事ができていくんだと思いますね。


この対談、非常に面白い。
若いアニメ業界人に対して、
「基礎学力のないしょうもないやつら」と痛烈な批判をする富野に対して、
「まあそういう業界だから(笑)」と返すギサブロー氏。
そんなギサブロー氏に「ギッちゃんは優しいから」とさらに返す富野など、
2人の掛け合いはもちろんのこと、
「世界観からその世界に合うキャラクターを考えるのではなく、キャラクターありきで、そのキャラクターがいちばん生きる世界を設定する」など制作論も興味深い。

でも、最近のアニメ云々については、
最近のアニメを全く見ないから状況がサパーリわからない。
いや、漠然とそうなのかな?とは思うのだが、
実際に個別例が浮かばないからなんとも言えない。
ギサブロー氏の言葉を借りればまさに「どうぞ、勝手にお作り下さい」状態。
まーアニヲタだった頃は、
それはそれで踊らされて周りが見えないからわからないのだろうが。
つかさ、2000年以降オイラがアニメを見なくなったのは、
∀で癒されアニヲタ的欲望を充足しきったのもあるが、
ベッタリとしたデジタルアニメに生理的な拒否感を抱いてしまうからというのもあるかも。
セルアニメよりはたしかに綺麗だけど、奥行きが感じられないんだもの。
ちょうどセルからデジタルへの移行期ってそのあたりじゃなかったっけ?
FC2タグ : 富野資料(雑誌)編集
コメント
デジタルへの違和感というのは分かる気がします。(旧世代なのかもしれませんが…。)最近のものは“アニメである必要性”が分からなくなってきているというのか? じゃあアニメならではの良さってなんだったのよ、というようなことを考えてみたいと思っちゃいるんですけどねぇ…。
囚人022 #TJwDdEqg|2006/10/04(水) 15:21 [ 編集 ]
実写映画でもCGを多用するようになった結果、
アニメ的な表現が増えてきましたからね。
実写とアニメの表現上の境界というものは極めて曖昧になってきていると思います。
子犬 #HL3aOXhs|2006/10/04(水) 23:19 [ 編集 ]
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